日常動作が健康を創る…身のこなしのメソッド・自然身法

自然護身法

自然護身法 Sizen Gosinhou

護身法は、動植物に自然に備わっているもの

足腰は樹木の根のように 腕は枝のように張る

護身とは、対人的な護身だけではなく、動植物が自然の中で生きる知恵として備えている自らや周りの生命を守る能力です。例えば、とっさの身のこなしにより事故を避けたり、危害を及ぼしそうな相手や場所を早く察知して回避することも、護身の一つです。また、気候や環境の変化に素早く柔軟に適応する能力やウイルス、細菌に対抗する免疫力、病気や怪我から回復する自然治癒力も、命を護るための本能的な能力=護身法です。しかし、便利で安全な環境の中で、本能的に持っているはずの護身の技が退化しているのも現実であり、「自然護身法」として意識的に学び直す必要があるのです。
写真: 足腰は樹木の根のように 腕は枝のように張る

自然護身法を身に着けるには

立禅 三球站樁

自然護身法は古来、太極拳、八卦掌、合気柔術などの柔らかな内功武術の中で練られてきたものです。ゆっくりと心をこめて動けば、内臓の働きが高まり、全身の骨や筋肉が内側から強化され、弾力のあるばねのような体になってきます。気を練ることによって、心身が強化され、内功が練られるのです。足腰は大木の根が張ったような重みを持ち、腰は柔らかく座り、背は太い柱のようにしっかりと伸びます。腕は、ゴムボールのような張りと周りの変化に即反応できるような機敏さを併せ持つようになります。
また、柔らかいということは、相手や周囲の環境の変化に素早く反応し、対応できるということです。二人で気の交流、合わせ、流れ、推手、間合いなどを練ることによって、ぶつからず、逃げず、自分の中心を守りながら、二人の接点、力の中心に入る技を身につけていきます。
写真:立禅 三球站樁
(→ 基本身法)

すだち(直立・無極站樁功)

すだち 直立

自然に立つことから始めましょう。自然に立つ姿勢の中に、のび(直伸)があり、ゆるめ(ファンソン)があり、しずみ(沈身)があり、ふくらみ(ポン勁)があり、さらにかろみ(軽身)があり、自在があります。心は、穏やかにしてひろがり、研ぎ澄まし、体の内外の気配を観ます。本来生物が持っている自然な姿であり勢いであります。
写真:すだち 直立
(→ 基本身法)

まるい力(ポン勁)を養う

すだち、立禅を基礎として、自然な身のこなしを気持を入れて行っていくと、下腹部を中心に温かく弾力ある球体があるような感覚が生じてきます。これが「まるい力」、または丹田力と呼ばれる感覚で、全身がばねのような弾力性を帯びた状態になるのです。二人組になり、攻守に分かれ、それを互いが確かめていきます。はじめから、力ずくで押したり、フェイントをかけたりせず、ゆるみ、ふくらみ、しずみ、はずみを確かめていきます。

自然護身法の基本の技

鏡あわせ

すだち:ふくらみ、まかせ

あわせには、鏡あわせと、波あわせがあります。鏡あわせは、相手の動きと自分の動きが鏡映しになっているように動きます。相手が掌で、すだち(直立・無極站樁)で立っている全身の各部を、体の中心に向かって、静かに押していきます。受け手は、相手の推す掌の力の中心に、わずかに、ふくらみ密着し、まかせ、もたれ、沈みます。
この鏡合わせに熟練してくると、攻め手がかなりの力で押しても、受け手は力をいれていないにも関わらず、動かなくなります。
写真: すだち:ふくらみ、まかせ

波あわせ

鏡合わせでの合わせの基礎が見について来たら、波合わせの稽古に入ります。波あわせは、相手が出たら、自分は引くというように、互いが一つの波のように動作します。あわせの要領で、相手の押す力に合わせて、相手の力を中心の外へと流します。相手の力に逆らわず、全身を柔らかくして吸収し、体軸を中心に自分の体を回転させ、相手の力を逃がします。
攻め手の動きに合わせて動かなければならないので、体を自在に緩め、腰を回し、両足の重心を移動し、腕を振る、スワイショウなどのふりこの動きや、波動ファンソン功(全身を前後に波打たせる基本功)を十分練習します。

ひねりふりこ

ひねりのふりこ(ひねりスワイショウ)

ひねりふりこ・波あわせ

自然体(すだち)から、腕をでんでん太鼓のように腰を軸に回し、自然な勢いで脇に巻き付けます。ひき、さばき、かわし、せめるという護身技の基礎にもなります。相手に拳で体の中心を突かれる、あるいは手で押されるのを、さばく稽古もよいです。回転には、引きと押しが同時にあるので、重心を必ず軸足の爪先の方にかけることがポイントです。
写真(順に):ひねりふりこ、ひねりふりこ・波あわせ

ふりこによるさばき
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ふりこによるさばき
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(→基本身法)

交互のふりこ(交互スワイショウ)

交互のふりこ・波合わせ・さばき

歩く時のように左右の腕を前後に腕を振ります。同時に腰を左右に回し、全身で振ります。もし、棒や刀などの得物で突かれたときには、すだちより交互のふりこを利用して、波のようにあわせ、さばきます。さらに、さばきの回転を利用して相手に接し、相手の重心を攻め、崩すこともできます。

写真:交互のふりこ・波合わせ・さばき

前後の波動(波動ファンソン功)

前後の波動ファンソン功
波あわせ・さばき

自然体(すだち)から全身を膝、腰、胸、首と前後に波打たせます。波の動きを使い、攻め手が前より、突いてくるのに合わせ、引きさばきます。ただ逃げるだけではなく、重心を爪先にのせ、さばくと同時に両手で反撃できるようにします。


さまざまなさばきの例

相手の突きや蹴りの間合いやタイミングを知り、それに合せて、さばき、受け、入り身、合気、太極拳技の稽古をします。相手のワンツーに対して、さばいた後、入り身して合気落し(表・裏)の例。
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歩法によるさばき。相手との間合いを計り、相手の中心に入るために、歩数、方向を小刻みに自然に調整していけば、歩によるさばき、かわし、入り身、カオ、攻め、崩し、はらいが可能となります。
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